恋の法則
そういう公太郎の素直なとこ、好きだよ。



好きだったよ。





「公太郎」



私はちゃんと公太郎の前に立って、笑顔を浮かべた。



公太郎は不思議そうな顔をする。



ケジメ、つけなきゃね。



いつまで立っても、宙ブラリンの関係やめにしなきゃ。




「彼女と仲良くしてね。

今まで、私のわがままに付き合ってくれてありがとう」



私は自分の足の先が見えるくらいお辞儀をした。





言えた。




私、ちゃんと言えた。



笑って言えたよ、藤沢。



頭を上げると呆然とした表情の公太郎。



私は「握手」と言って、手の平を前に出した。



「ありがとうの握手、しよう」



公太郎は私を見たまま、しばらく動かなかった。



「公太郎?」と呼んでみても、反応はなかった。


やっと動いたと思ったら、下を向いちゃう公太郎。




「なつみは…」


とやっと発せられた声は小さくて。



「ん?」




「それでいいのか?」


心細そうな顔に私の心臓は脈を打った。

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