恋の法則
涙でぐちゃぐちゃになる私の頭を、公太郎は優しく撫でてくれた。



「そっか…」と自分を納得させるかのような言い方。



「ごめんね…、公太郎…」


「何で謝るんだよ。
もともとはオレの勝手な言い分でこんな風にしちゃったんだろ?」


公太郎はくしゃっと笑って、「ありがとな」と呟いてくれた。



無理をしている公太郎。



本当に、全部の貴方が好きだったよ。


公太郎はふいに立ち上がると、ため息を吐いた。



「おい。出てこいよ」


と図書室全体に向かって、声を上げる。




「…こ…たろう…?」


私はその行動に驚いて、公太郎を呆然と見上げた。




うっすらと微笑む彼。



「なつみが泣いてんだよ。どーにかしろよ」



まるで、誰かに話しかけるような言い方。



公太郎…?誰と会話してるの…?




私は不安と恐怖から肩を縮ませる。




当の公太郎は又私の前でしゃがみ、大きな優しい手の平で頭を撫でてくれた。




「なつみ…じゃあな」


「…え…待って…」




私の制止を聞かずに、公太郎は立ち上がって歩いて行ってしまった。



< 67 / 74 >

この作品をシェア

pagetop