恋の法則

恋の法則

私は、アンタとここで言葉を交わしてからおかしいよ。




「何泣いてんの」


藤沢は私の前にしゃがんで、首を傾げる。


何故かいつもの黒ぶち眼鏡が外されていて、素顔の藤沢の顔がそこにある。


見慣れないものに、私は息を呑んだ。


藤沢の瞳を時々隠す障害がなくなって、必要以上にドキドキしてしまう。


私は視線をそらして目元を拭った。



「なっ…泣いて…ないよ」



「そうか」


「そっ…そうだよ」



それにしても、何で藤沢がここにいるんだろう?


公太郎しかいなかったはずなのに…。



私はそらした目を、少し藤沢に戻した。

アイツは首をかいて眉をしかめていた。



「眼鏡…どうしたの?」



私の口からは疑問が漏れる。



「ん…ああ」と藤沢は横を向いた。



「ああ」、だけじゃ分かんないんだけど…。

私はジーっと、藤沢を食い入るように見つめる。



「んだよ」


とうっとおしそうに文句を言われた。


「ねぇ…」



「何…?」



私は藤沢の口元に手を伸ばした。


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