恋の法則
ねぇ…届いた?
私の精一杯。
ちゃんと通じたかな?
一切黙ったままの藤沢が心配になって私は、アイツを小さく揺さぶった。
「…藤…」
その途中、
決心したかのような藤沢の手が私の腰に回り、アイツの名前を呼びきれなかった。
優しくて、不器用過ぎるものを感じて私の中では一瞬の内に満たされたもので溢れた。
それを合図にきつく藤沢に抱きつく。
時間が止まったかのように、私達は抱き締め合った。
言葉がなくてもしっかりと分かる、藤沢の温かさ。
アイツが私を天宮じゃなくて「なつみ」と呼ぶ。
私は頷いて、藤沢の腕の中で目を閉じた。
「好きだ」
アイツの落とした言葉と同時に、私は藤沢の優しい口付けを受けた。
しまった涙は、わけもなくこぼれた。
恋に疲れて、方向を失っていた私。
めちゃめちゃになっていた恋の数式は
図書室で会った、アンタによってもう一度組み立てられた。
当たり前だった法則は秀才のアンタに自由勝手に書きかえられてしまったけど。
でも私は
「藤沢、大好き」
再び動き出したこの恋を大切にしたい。
貴方と、一緒に。
*END*
「恋の法則」