Five LOVE☆
コンコン…

部屋がノックされる。


「心が落ち着くカクテルはいかがですか?」


そう言って入ってきたのは使用人。
ってか、この使用人、オールマィティーだな…
カクテルまで作れるとは…

「いただきます。」


それを呑んだ瞬間、思い浮かんだのは奈留の泣き顔。
行ってやらなきゃ。


いじめがトラウマの奈留に唐突にいじめのことを聞くなんて…
軽率すぎたよな。

もっと奈留の気持ち…考えてやるべきだったよな…


部屋を飛び出す。


「再確認したようですね。シンデレラという名前のカクテルを通して、雅志様だけのシンデレラの存在を。階段の下で寂しくされていますよ。」


そう言って、使用人さんはあるものを俺に渡す。
階段の下で見つけたという、指輪だ。

内側に奈留の名前が刻まれている。
やっぱ、少し緩かったかな。


「やーっと見つけた。
俺だけのシンデレラ。
ガラスの靴じゃなくて、落としたのは結婚指輪だったけど。」


階段の踊り場にいた、俺の大事な姫に声を掛けて、思いきり抱きしめる。
泣き出した彼女を部屋に運んで落ち着くまで腕の中に収める。

落ち着いたらシャワーを浴びさせて、2人で手を繋いで眠りに付いた。
< 140 / 220 >

この作品をシェア

pagetop