Five LOVE☆
「俺もさ、あの使用人にご馳走してもらったワケ。
シンデレラとかいうカクテル。
呑んだ瞬間、泣いてる奈留が思い浮かんで。
いきなり心の傷をえぐるようなこと聞いて…ごめん。ホントに軽率だった。
奈留にとっては…ツラいことなのに…さ。
話したくないの…当然だよな…」


そんなことを言う雅志に、一生懸命首を横に振りながら、声にならない声を出す。


「こんなとこで泣くな?
しかも、今夜だし迷惑だから。
部屋戻ろう?」


雅志にお姫さま抱っこされて、部屋に戻った。
ルームキーをドア横にかざすと、ピーという単調な音とともにドアが開く。


「……ごめ…んねっ…
まさっしはっ…悪くない…からっ…」


「分かったから…もう泣くな?
この件については…話す気になったら話してよ。
大体のことはオーナーから聞いたけど、
奈留の口から聞きたいからさ。」


「うんっ…」


「忘れてた。
これ、ほんの少しだけ緩かったな。」


そう言って、私の左手の薬指に指輪をはめてくれた。

「大丈夫だよ。
…ちょっと顔洗ってくる。」


「ん。
…ついでにシャワー浴びてきちゃいな?
俺はもう先に入ったからさ。」


よく見ると、髪が少し濡れている。


「じゃあ…行ってくる。」


行ってらっしゃいなんて言う雅志に見送られて、シャワールームに向かった。

私…あんな優しい人と一緒になれるって…幸せだな…
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