Five LOVE☆
……あと、1カ月ほどでゲーム自体は完成する。


まああと、完成した後は、時期を決めるだけ。

他の会社と系統が被ってないかとか…ね?


そういうものをちゃんと考慮して。


今日も仕事は順調だった。

プログラミングの途中に、同僚が色々話しかけてきたけど。


「悠月…頑張ってるよ。
母親があんな状況で…
いつ危篤状態になってもおかしくないのに…
強いやつだよな、悠月は。」


ついうっかり話してしまったこの台詞を、聞かれていたことに、僕は気付いていなかったんだ。


プロデューサーさんによると、悠月を早くあがらせたらしい。

仕方ないよな…

仕事どころじゃないだろうし。

ってか…悠月…大丈夫かな?

外はいつの間にか真っ暗で、雨が強く窓を叩く音が聞こえている。


視界が悪い中、出来る限り車を飛ばして、悠月がいるであろう実家に戻る。

だけど、鍵がかかっていた。

帰って…ないのか?


何してんだよ…

絶対、傘は差してないはず…

傘を持って、悠月がいそうな場所を片っ端から探すことにした。


探しても探しても…見つからない。


このどしゃ降りの雨の中…なにやってんだよ…

風邪引くぞ?


こんなとこ…あったのかよ…


やがて、大きな木とベンチのみがある丘のような場所に辿り着いた。
見渡すかぎり、何もない。草が広がっているだけだ。
大木の側に、ちょこんと丸まっている人影を見付けた。
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