新撰組と鬼の娘


夜中―――


隣で寝ていた夜魅ちゃんが起き上がった。


「夜魅ちゃん?」


声をかけても指先さえも動かさず、瞬きさえもしなかった。


ただ、声も出さず、涙だけを流し始めた。



僕はぎゅっと夜魅ちゃんを抱きしめた。


そのままゆっくり布団に寝かせ、しばらくその状態でいた。



やっぱり今までの元気は空元気だった。


解っていたけど、知らないふりをした。


ごめんね、夜魅ちゃん。


気にしたら、逆に君が辛くなるんじゃないかって思ってたけど、やっぱりそうじゃないね。


「ごめんね……。」


いつのまにか、僕も泣いていた。


僕はこんなにも弱かっただろうか?


「せっかくのお祭り、嫌な思いさせてほんとごめん。」


そう呟く。


『……明日、ちゃんと話しますね。』


そう夜魅ちゃんが言ったのは、幻聴だったのだろうか……?






< 52 / 105 >

この作品をシェア

pagetop