新撰組と鬼の娘
『信じられないかもしれないですけど…。私、は……人じゃない、です。私は…鬼。……らしいんです。』
左「らしい?」
『はい…。つい昨日のことです。私の故郷の小さな村が、人に襲撃されたのです…。私は何がおこったのか、全く解りませんでした……。』
今は亡き、村の皆の叫び声が耳の奥でまだ聞こえる。
気付けばもう我慢できなくて泣いていた。
『誰の気配もしなくなって……外に出てみたら…皆っ……殺されてっ……!血の海でっ……。』
胸が苦しい。
でもまだ話しの途中…。
私はギュッと自分の着物の胸元を握った。
『必死に……両親を探しました…。先に見つけた母は、もう…死んでいました……。』
片方の手で目をこする。
『父の声がして……、父を見つけました…。その時、父が言ったのです…。《お前は鬼だ。私もお母さんも、村の皆も。もうお前しか生き残りはいない。逃げて……生き延びろ》っと…。』
一「そして逃げてたどり着いたのがこの京の町。」
私は頷いた。
『だからっ……私も、殺されるんじゃないかって……。怖くてっ…!』
涙を頑張って止めて、でも俯いたままでいた。
敬「それは人を見て怖くならない筈がありませんね。」