新撰組と鬼の娘

総司side


僕達は声が出せなかった。


僕達だって、伊達に人を殺してきてない。


どんな酷い戦場だって見てきた。


だけど…………。


こんなに酷いのは初めてだ。


近藤さんも、皆が皆初めて。


夜魅ちゃんは、家に案内するといって、歩き出した。



歳「ここまでやったのか…あの野郎…!」


誰もが、この状況に怒りを覚えただろう。


戦の参加を断っただけで、こんなんにされてしまうなんて、考えてもみないだろう。


夜魅ちゃんも、これを見るのは初めてだろう。


逃げてきたのは夜だったし。


…それでも、僕達みたいに驚くことなく、歩いていく。


だけど、彼女の抱えた悲しみはその背中から痛い程に伝わって来た。


途中で僕達を見た彼女の目は、絶望と、悲しみと、怒りで満ちていた。






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