新撰組と鬼の娘
夜魅side
『皆……さよなら…。』
そう言って、私は笑った。
涙は、出なかった。
ほんとに悲しい時は涙が出ないって、ほんとだったんだ。
………きっと、屯所に戻れば泣くんだろう。
今は泣けないだけで。
『……帰りましょう?もう私は大丈夫です。ちゃんと皆を埋葬できてよかったです…!』
新「でも…まだ……。」
永倉さんの言葉を遮って、沖田さんが言った。
総「君がよかったなら帰ろう。」
永倉さんの言いたいことは分かる。
だけど、今私にそんな余裕はなかった。
苦しくて苦しくて、仕方がない。
だけど、苦しむのはもっと後でいい。
今は…………仇討ちだけ考える。
勇「帰ろうか。我々の《家》に。」
その一言が、私の心をちょっとだけ軽くしてくれた。