meet meet...

「みなみ! 早くしないと遅れるよ」

高校に入って二回目の体育祭を明日に控えて、盛り上がった校内に響く声。
教室入り口の壁に手をかけて、葵ちゃんが私のことを呼んでいた。

「すぐ行くっ!」

鞄の中にあった携帯をポケットにいれて慌てて教室を出る。
ごめんっ、と小さく謝ると葵ちゃんは気にしない、と笑ってくれた。

「あ、でも急がないとね。宮島に怒られるって」

バッと私の手を取った葵ちゃんは廊下を走り始めた。
連れらるがままに私も駆ける。
忘れた携帯を取りに応援の練習を抜け出してきたから、あまりゆっくりはしていられなかった。
葵ちゃんは他のクラスの生徒を避けながら器用に廊下を進んでいく。
その背中を追いながらも、ドジな私は何度も見知らぬ生徒に肩をぶつけては謝るの繰り返し。
中庭に着いた時には多少息が上がってた。

「浦賀ぁ、笹川ぁおっせーよ」
「男は小さいこと気にするなって」

茶化すような宮島君の言葉に葵ちゃんはあっさりと切り返す。
男子と会話することなんかほとんどない私にとってはちょっとした憧れ。
というか、そう言うのも含め明るくて人の良い葵ちゃんが素敵だと思っていた。
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