君がいれば
…━十夜Side━…
『うッぎゃあああああ~!!』
と奇声を発して走っていったサル女。基、宮沢奈緒。
正直さっきは驚いた。
女が背伸びをして顔を近付けてきた事は何度かあるが、あんな形で近付かれたことなかったからな。
しかもいきなりだし…なんで石なんかに躓くんだよ…
俺がぼんやりそんなことを考えてていると、コツンと何かが肘に当たった。
顔ごと肘に目線を向けると、そこにあったのはピンクの携帯だった。
《あのバカ…忘れていきやがった》
転んだ時に落としたのだろう。
『仕方ねーな…』
はあ…とため息をつき、俺は教室へ向かった。