君がいれば


『ねえ、』


と俺が声をかけると、その女は俺を見て一瞬目を見開き、なに?と聞いてきた。


『宮沢まだ戻ってないの?』

「奈緒?朝教室を出てからどこ行ったかわかんない…でもなんで?」


『あいつ携帯落としてったんだよ…あんた友達だろ?これ届けてくれない?』


宮沢奈緒の携帯を見せながら言うと、女は手を口元に添えて考える素振りをした数秒後ニヤリと笑いパンッと両手を合わせた。



『ごっめ~ん。私今日用事があるから無理だわ。悪いけど月野君!!奈緒の家まで届けてくれない?』




……なんでだよ。



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