ある人妻の過去
その頃、私の両親は父の仕事の都合で、地元を離れていた。


空き家になっていた実家。


私は、何も知らなかったんだ。


これから大変な事になるなんて…

私には想像も出来なかった。




そして、翌日。


また電話が保育園にかかって来た。


園長や他の先生がいるので、電話に出ない訳にはいかない。


渋々、私は電話に出た。


用件は、昨日と同じ。


ただ違うていたのは、消費者金融の会社の名前が違ってた。



 「ご住所に郵送した
  書類内容を確認
  してください!」


受話器の向こうから、優しい女性の声が聞こえた。



【…住所?】


私は、職場から真っ直ぐ実家へと向かった。


私は、住民表を実家から移動をしてなかったから…


そういえば、昨日見せられた借用書にも、実家の住所が書いてあった。


私は、空き家になった実家のポストを開けた。


いや…

開ける前から、それらは私の視線に入ってた。


ポストの口から溢れ出た封筒やハガキ…


雨に濡れ、しなびた物もあった。

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