夏軌くんと遼ちゃん
(……僕が男らしく…。楽しみだなぁ!!)
ウキウキする気持ちを抑えて授業に集中しようとするも、顔がニヤニヤして止まらない。
嫌いな体育だって何のその。張り切ってウォーミングアップをする僕は周りから見たらかなり異様だろう。
グラウンド2周のジョギングを終え、水呑場へと足を運ぶと、女子の集団が休憩していた。
けれど、その中に告白した彼女を見つけ、慌てて傍の倉庫の裏に身を隠す。
見つからなかったようで、グループが女子の体育へと戻るのを確認し、ほっと息を吐いた。
さすがに今あの子の前に行けない。さっき、はっきりとフラれたのだから。
誰も居なくなった水呑場で、砂に塗れた手を洗い水を口に含む。
「……さっき、何してたの?」
いきなり声をかけられ、水が気管へと入り込む。
その何とも言えないむず痒さに激しく咳込むと、声の主…内海が慌てて背中を叩く。