夏軌くんと遼ちゃん



(……僕が男らしく…。楽しみだなぁ!!)


ウキウキする気持ちを抑えて授業に集中しようとするも、顔がニヤニヤして止まらない。

嫌いな体育だって何のその。張り切ってウォーミングアップをする僕は周りから見たらかなり異様だろう。


グラウンド2周のジョギングを終え、水呑場へと足を運ぶと、女子の集団が休憩していた。


けれど、その中に告白した彼女を見つけ、慌てて傍の倉庫の裏に身を隠す。


見つからなかったようで、グループが女子の体育へと戻るのを確認し、ほっと息を吐いた。



さすがに今あの子の前に行けない。さっき、はっきりとフラれたのだから。


誰も居なくなった水呑場で、砂に塗れた手を洗い水を口に含む。


「……さっき、何してたの?」




いきなり声をかけられ、水が気管へと入り込む。

その何とも言えないむず痒さに激しく咳込むと、声の主…内海が慌てて背中を叩く。




< 8 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop