心音
『うち、見ての通りお父さんがいないの。 あたしが13歳で昴が4歳の時に死んじゃったんだ。』 「えっ?」 『その当時、お父さんは会社でちょっと偉い役職についてた。 そん時の社長が悪いことしたのを、全部お父さんに被らせお父さんは自殺したの。 あたしと昴宛てに手紙があったわ。 ―困った人がいたら助けてあげなさい―。 ただそれだけだった。当時13歳だったあたしは、はっきり言って何言ってるんだろうっ思った。 困った人を助けて自分が死んじゃったんだから。 けど昴は、その言葉をずっと守り続けてた。 小さいころから誰にでもやさしく困ってる人を見つけたら誰よりもはやく駆けてけて助けてあげてた。 それと口癖のように俺がお姉ちゃん守るからって。 正義感だけは強いんだ。だから、あんたのこともほっとけなかったんじゃないかな・・。』