桜散る頃に
「美咲!!」

病室に入ると、以前とは比べものにはならないほどやせ細った美咲がベッドの上に居た。

「…千歳…」

美咲は弱々しい笑みを浮かべた。

「…ようやく、来てくれたのか…」

「悪い、俺…」

「いいよ、別に。明後日にさ、手術することになったんだ…」

「ああ、母さんに聞いた。」

千歳は美咲が居るベッドの横にあった椅子に座った。

「成功したら良くなるんだよな?」

「ああ。でも成功率は低い。」

「大丈夫だよ、美咲なら。俺もずっと側に居るから。」

「ずっと?」

「ずっと。」

千歳の力強い言葉に、美咲は嬉し涙を流した。

「私さ。」

「うん。」

「母さんたちには大丈夫だって言ったんだ。」

美咲はゆっくりと話しはじめた。
千歳はそれを黙って聞いた。

「でも本当は…すごく…怖い…」

美咲は涙声で話しつづけた。

「もし死ぬことになったら私…」
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