桜散る頃に
「俺の事覚えてないの?」

男はそう言うと、美咲はまた無表情で言った。

「俺だよ、俺。小さいころ遊んだろ?藤堂千歳。」

美咲は「藤堂千歳」と口の中で呟いた。
そして、美咲はハッとして思い出した。

「千歳って、昔隣に住んでてアメリカに行った千歳!?」

「そうそう。会いたかったよ、ミサちゃん。」

「だが、確か千歳は女の子じゃ…」

「やっぱり勘違いしてたんだ。俺は正真正銘昔から男だったよ。」

千歳は苦笑して言った。

「……」

美咲は呆然とした。

「俺、またミサちゃんの隣に住む事になったから。よろしく。」

千歳はそう言って、美咲の頬にキスをした。

「なっ……!!」

美咲は衝撃が強すぎて、倒れそうになった。
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