桜散る頃に
「それを返せ、千歳!」

美咲は千歳から、紙を取り戻そうと手を伸ばした。

「んだよ、ちょっとくらい…」

千歳は美咲の届かないところまで紙を上に上げた。
紙を見ると、千歳は自分の目を疑った。

「美咲…まじで?」

「まじだ。」

その紙は、美咲が病院からもらったものだった。

数週間前から、美咲は体の不調を訴えた。
元々体の弱い美咲は、いつもの事だろうと病院には行かなかった。
しかし不調は長引き、早く治すために今日病院へ行ってきたのだ。

検査の結果











頭に悪性の腫瘍があった。
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