黒猫～special cat～

『……ほんとだな、蓮(れん)』

「っ…！？　気づいていたのか――――？」


校長こと、伊藤　蓮は――ちょっと、関係は言えないかな


だけど蓮は悪い奴じゃない
それはハッキリと断言できる、けど。


『…流石に言えませんよ、そんなの』
「≪校長なら≫…って油断させるつもりだったのになぁ…
お前、気付くの速ぇんだよ」




正体が分かってる、分かってた…だから

「まぁ…、決めてんなら仕方ねぇか」






―――――何で、引き止めないんだ？



『…待て、とか言わないんだな』

「っお？　言って欲しいのか？」

『違ぇよ、蓮は俺サイドじゃないだろ』


「…なんかそれ、≪〔待って〕っていって…≫っつってるみたいだな」

『……そうなのかもな』

「遂に、デレ期か？」

『…殺すぞ』

「きゃー、怖い怖い」


『――――はぐらかすなよ』


俺は思わず溜息を吐く

蓮はじっと俺を見据えていう




「―――――お前、琉羽に言ってねーだろ。本当は」

『――ッ！！　何で、それを…』


「嘘吐く奴を引きとめたって、

どうせ、無駄だ」

蓮はキッパリと吐き捨てる



「逃げられるんだよ、何言っても。
ただ―――、無駄に足掻いて、もがいて、善がって、一人傷つくだけだ」

蓮はそうだろ？と俺に問いかける


まるで、俺に確認を取るように
俺が、経験してきたみたいに