黒猫~special cat~
「……か…夏っ……琉夏ッ…」
誰かが呼ぶ声がして目を覚ました
『あぁー…港か。みんなどうした』
…俺はどうやら眠ってしまっていた
「どうしたじゃねェよ
泣いてるし、名前を呼ぶし…悪夢でもみたのか?」
目に触れると手に雫がついていた
それよりーーーー
『…名前?』
「ルッくん、確かねーえー…と、」
「……レイ…」
泉の声に…否、“レイ”に肩を揺らした
それを、みんなは見逃してはくれなかった
「何か、あるの?」
俊が首を傾かせる
『…悪ィ、忘れてくれ』
レイだけなら、男女の差別も付かないだろ。
…ましてや、俺の正体がわからないなら
(今度から気を付けよ…)
「…後、“ごめん”て」
忘れてたかの様な言い方。
だけどさっきの後に誰も続けないということは…