黒猫~special cat~
『やっぱ、嵐龍の権力ってすごいな』
英語の授業ながらに改めて感心する琉夏
…それでも琉夏の手は動きを止めることは無かった
「みんな、恐れているだけだよ?」
ニコニコと笑う俊には、
どこか悲痛めいた物を感じる。
「…嵐龍はね、関わると“普通ではいられない”んだよ」
俊は相変わらず、ニコニコしている
「だから、あの人も…」
『…あの人?』
思わず手を止め、俊を一瞥(いちべつ)する
しかし俊はニコニコしているだけで、何も言わない
どうせ、待つだけ無駄だろうと考えた琉夏は
板書に視線を移した。
「…知りたい?」
『……いや、いい』
間を置いたのは躊躇した証拠だ
それを理解した俊は口を開こうとした
しかし、それより先に琉夏が口を開いた。
『…“今は”いい』
「……そう」
俊はさっきよりニコニコしていた
それに気付いた琉夏は、ふっ、と軽く微笑んだ
(ーーーもう少し、
お前等が信じられるようになってからな)
また手を、否、ペンを走らせる琉夏
(ーーーーいつか、俺も伝えるから)
“待っていて”