黒猫~special cat~
嘘と交差する日常
“俺たちの親父だからだよ”
「…え?」
「何、言って…」
「ハッキングした時にはそんなこと…」
「あるんだよ」
はっきり言い捨てた琉羽に、
今までの温かい優しさは無い。
突然の事実に誰も、無いも言えなかった
「今回は、悪いが協力を得なければ
ならない……けれど」
冷静に、にわかに口を開く琉羽は
一体何を見つめているのだろう
「今回の件が終わったら、
もう、俺たちには関わらないでくれ」
それが琉夏に為なんだ、と呟いた
琉羽の目に迷いは無かった
「…それを琉夏が言ったのか?
それを琉夏が言え、といったのか?」
碧がただただ冷淡に告げた。
琉羽は何も言わなかった
「俺たちは…少なくても俺は、
絶対諦めないからな」
「…第3倉庫らしいですよ」
総は愉快そうに笑いながら、
琉夏の居場所を聞き出した
「普通、携帯は取り上げるでしょう?」
総は否定をさせないかのように
悪魔で、ニコリと微笑んだ
「………行くか」
嵐龍が歩きだすと琉羽は小声で
顔をうつ伏せにしながら呟いた
「…頼むから、
もう琉夏を苦しめないでくれよ……」
その声は嵐龍に届いた筈だが、
誰一人として頷く者はいなかった