黒猫~special cat~


「泉、誰に電話を?」


総は首をかしげながら尋ねる。

皆は何も言わないけど、きっと同じことを考えていると思う

泉は視線を携帯から外し
総に目を向けて、周りを見渡した

その目が余りにも冷たくて…何かを抑えているような、
そんな…馬鹿みたいな事を考える


―――今は、そんな場合じゃないのに


「……琉羽」

泉が、ぼそりと呟く

泉は琉羽にハッキングで入手したケー番を使って会話していたらしい


「なんて、琉羽に―――」


――――――トンっ、

そんな軽い音が部屋に響く

決して大きい音ではなかったけど、
部屋が静寂に包まれた


皆の視線が、突き刺さる。


そこにいたのは――――



「………琉羽、さ」
「琉夏は何処だ」

僕の言葉を遮って琉羽が低い声で威嚇する。

あぁ、本当に…琉羽さんは……


「聞いているんだ、琉夏は何処に…」
「知らねぇ。分からねぇことだらけで、
“何を聞けばいいか”すら分かんねぇ」

本気で困惑しているような声色で、碧は琉羽を見据える
それは何故だか、強さにも思えた



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