黒猫~special cat~
琉樹の存在-IMITATION-
かさかさかさ……
木々が揺れる
まるでそれは、俺の動揺を表すようで。
不意に、思い出す
琉夏がまだ、幸せで
琉樹がまだ、いない
すごくすごく、未来が見えていた時を
……でも、知らない
俺はそんな時のことを知らない
不幸の最中(さなか)、生まれた俺より
まだ、港の方がーーー理解しているんだ
歯痒いけど、仕方ないな…とも思う
だって、俺にはどうしようもない
そのおかげで、琉夏が助けられるならーーー
俺は何とでもして知ろうとする
ーーーーだけど、もし
もし、そのせいで動揺して
たった少しの、たった一つの、
完璧な計算が綻びを見せるなら。
ーーーー俺は何としても、知りたくない
絶対に、聞いたりしない。
知りたくない
聞きたくない
壊したく、ない
俺には、そんな権限はんてない
ない、ないんだ
俺が自由に動く権利なんて