黒猫~special cat~



*******


目を、開ける


そこはさっきまで広がっていた世界じゃない。

ーーーそうか、寝てたのか。


また、琉樹が…起きたのか

医者に言われた言葉を頭の中で繰り返す



«………もう一人のアナタ、
 どうやら“琉樹”というそうですが


 ーーーーーかなり、厄介ですね»


厄介、の意味を問いただしても
医者は何にも…答えなかった


死病にかかった訳でもないのに

どうしようもなく……、こわい。



『さて…、どうしようか』

今更、【戻る】なんて術は無いだろう。失せた、消え失せた。



『本当…、情けねぇなぁ………』


俺はここで、何がしたかったんだ
ーーなぁ? 琉樹、


お前は、何をしようとしてた?
お前は、何をしたかったんだ?


だけど、頭の片隅で琉樹は、琉樹はーー



(…………琉樹?)





泣いてん、のか………?


俺は琉樹に問う、琉樹は………答えない

……まぁ、当たり前だけど


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