ずっとあなたが好きでした
失恋
幾つかのアトラクションを回り、レストランで夕飯を食べていた時に、あっこが私に話掛けてきた。

「矢吹くん、優しいし、私服も決まってたし、最高なんだけど…私、馬鹿だけどさぁ、一つ分かった事があったんだよね!」

「何?」

「矢吹くん、香の事が好きだよ」

「え?何で?」

私は何で好かれるのかよく分からなかった。

「何で?って、さっきスプラッシュマウンテンにいた時、ずっと香を見てたよ。」

他の四人も便乗してきた。

「そう!私も思った。ずっと香を見てたよ」

「あれは、私が虐められてたから罪悪感を感じたからでしょ?それに私は矢吹くんから好かれる理由なんて全くないもん。」

「そうかな?でも、人を好きになるのに理由なんてないじゃん。」

中学生のくせに葉子ちゃんは大人な発言をするなと思った。

そして、あっこがすっきりした表情で言い始めた。

「私、矢吹くんの事は諦めるよ!この間、告ったけど振られちゃったんだー」

「そうなの?」

いつの間に、告っていたんだ、この子は…。

大人しそうで、のんびりしてるくせにやること早いなと感心した。

「でね、私この前、ある人に告白されたから、その人と付き合う事に決めたんだ。」

嫌な予感がした。

まさか…

まさか、伊藤くん?

やめて…

それだけはお願い…

やめて…

あっこに自分の気持ちがばれない様に、必死に平然を装い、

「伊藤くん?」

と聞いた。

「え?香、何で知ってるの?恥ずかしいなぁー」

私があいつの事をどれだけ見てると思ってるの?

あんなに分かりやすい奴なんだから、分かるに決まってるじゃん。

知らなかったのなんて、多分あっこだけだよ。

「だって、あいつ分かりやすいもん」

「私、鈍感だからなぁ」

「返事はいつするの?」

「さっきしたよ。」

さっき?

さっきって私があいつの言葉に感動して、泣きそうになってる時じゃん。

「そう、良かったね!あいつ、すごく良い奴だよ」

「うん、ありがとう!でもね、タイプじゃないんだぁ。好きになれるかなぁ?」

じゃあ、伊藤くんの事好きになってから付き合ってよ。

私は分からない。

何で、好きでもない人とあっこはホイホイ付き合えるのか?

もし、好きになれなかったら、相手を傷つける事になるのに…。

何でそんな事が出来るの?



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