ずっとあなたが好きでした
「大丈夫だって!」

と言ったものの、あっこに腹が立ってたまらなかった。

私に余裕なんて全くなかったのに、余裕ぶってしまって本当に疲れた。

その後、頭が真っ白になり、ホテルに戻っても、どのアトラクションに行けたのか思い出してみようとしたけど、全く思い出せなかった。

その晩、皆が寝静まった後も全く寝付けず、ホテルの一階のラウンジの窓から外を見ていた。

これから、毎日あっこと伊藤くんの付き合っている所を私は見なきゃいけないの?

私は明日から二人を祝福出来るの?

あんなに好きだった伊藤くんを諦めれるの?

でも、どうして?

伊藤くん、どうして、あっこじゃなきゃダメなの?

私の方がもっと早くに出会ってるじゃん。

伊藤くん…あっこは伊藤くんの事、全然好きじゃないんだよ?

後で傷付くかもしれないんだよ?

私は絶対、伊藤くんを悲しませる様な事はしないよ?

私は伊藤くんがあっこを好きになる前から、伊藤くんだけを見てたんだよ?

伊藤くん、さっき私のこと褒めてくれたじゃん?

私、すごく嬉しかったのに…。

唯一、伊藤くんと話す事が学校での楽しみだったのに…。

ねぇ伊藤くん、どうして、私じゃダメなの?

どうして…

やっぱり嫌だよ。

伊藤くんとあっこが付き合うなんて嫌だよ。

私が伊藤くんの隣りにいたかったよ。

泣きたかった。

声に出して泣きたかった。

泣いたら、楽になれるのかな?

でも、今ここで泣いてしまったら、今まで耐えてたものが爆発する。

泣いたらダメだ…

その時、人の気配を感じた。

伊藤くん?

伊藤くんでしょ?

まさか…

俊也だった。

「矢田?どうした?こんな所で何してんだよ?」

「矢吹くんこそ、どうしたの?」

「眠れなかったから、ぶらぶらしてた。
眠れないのか?どうしたんだよ?何かあったのか?そんな顔して…」

「矢吹くん…」

「ん?どうした?」

「薄暗かったのに、よく私だって分かったね」

「あぁ」

と言った俊也の頬は赤くなっていた。

「矢田…何か色々ごめんな!俺のせいで虐めに遭ったり…なのに、俺酷いこと言ってホントごめん。てか、早く気付いて、濱田に言ってやれば良かったよな。」

「良いよ。そのことはもう…」

「でも、矢田は傷付いたんだろ?ちっとも良くねーよ。」
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