ずっとあなたが好きでした
俊也が何か言いかけた。

さっきの事の様な気がした。

私そんなに悍ましい顔してたかな?

そりゃそうだよね。

腸が煮えくり返りそうだったんだから…

嫌だな。

矢吹くんに、そんな顔見られたくないよ…

私は明るく振る舞って、話を変えようとした。

「矢吹くん、暑いでしょ?タオルかなんか濡らしてこようか?」

「あぁ、うん。」

そして、俊也は私が濡らしてきたタオルで顔を拭いた。

「矢田…何で?あんな事言われて、嫌な思いしてるのに、それよりも俺の事心配出来るの?」

「え?良いよ。そんな事!いつも皆に言われてる事だもん!今更、もう気にならないよ。私は矢吹くんの肩をどうにかする為にここにいるんだから…矢吹くんは気にしなくて良いよ。」

良かった…

明るく言えた…

内心、ホッとした。

保健室の先生が戻ってきた。

先生が処置を始めた。

私は先生に

「矢田さん!もう大丈夫だから、戻りなさい。」

と言われて、戻る事にした。

俊也も

「ありがとう。矢田は戻って。」

と言った。

私は戻ることにした。

ちょっと走るだけで、痛めちゃうんだ…

俊也の事が何か心配になってきた。

けれど、大事には至らなかったみたいで、すぐに俊也も戻ってきた。

「矢田、ありがとう」

「矢吹くん、もう良いの?」

「うん、もう平気!」

「リレーは出られるの?」

「あぁ」

田川くんも心配していた。

「おい、お前、大丈夫かよ?」

「あぁ」

俊也は元気そうだった。

俊也は私に笑顔を向けて、皆の方へ行った。

「おい、ちょっと」

伊藤くんが私を呼んだ。

「何?」

「あいつ(俊也)お前の事好きなんじゃねぇの?」

「はぁ?」

「はぁ?じゃねーよ。」

「そんな事ある訳ないじゃん。何言ってるの?」

「お前の事よく見てるし、気にしてるし、お前に優しいじゃん。お前、何つーか不思議な魅力があるんだよな。何か気になるっつーか、特に美人とか可愛いとかじゃないんだけど、そういう子達に劣らない何か違う何かがあるっつーか…俺もよく分からんのだけど。」

私は可笑しくて、笑った。

「私にはもっと分からんよ。誰にでも優しいんじゃないの?矢吹くんは…。」

「お前もな!」
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