ずっとあなたが好きでした
「でも…俺、最近気付いたんだけど、本当にお前と他の子じゃ、あいつ見方が違うんだよ。」

「そうなの?」

私はだんだん焦ってきて、自分の顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。

「なぁ、お前、本当は薄々気付いてるんじゃねーの?」

「気付いてるって?」

「だから、矢吹の気持ちだよ?」

「…。」

「俺もはっきり聞いた訳じゃないけどさ、多分そうだよ。」

そう言って、伊藤くんは松井くん達の方に行った。

私の気持ちは全く気付かなかったくせに…

何だか笑えた。

暫くボーッとしてしまった。

本当だったら、この上なく嬉しい。

伊藤くんの言葉を反芻し、嬉しさの余り、顔がにやけてしまった。

みんなに気付かれないように必死に平然を装った。

さっきまで、あんなに凹んでたのに…

私は単純だな…

笑えた。

マスゲームの時間になった。

これが終わると、もう皆で公園で話したりする事もなくなるんだと思うと本当に寂しくなった。

葉子ちゃんが、

「体育祭、終わりたくないよ。」

と言った。

「本当だね、カラーガードの皆で公園で話すの楽しかったよね」

と私も言った。

「うん、また田川くんと距離が出来ちゃうのかなぁー練習がないと話すきっかけがないよ。」

「戻りたいね、練習してた頃に…」

そして、三組の番になった。

カラーガードはミスなく普段通り出来たけど、バトンはバトンを落とす子が何人かいた。

ハプニングは多々あったけど、無事終わった。

里加ちゃんがバトンを落とした子達を責めていたけど、田川くんが、

「練習よりはずっと上手くいったんじゃない?」

と言って、里加ちゃんを宥めた。

そして、最後の男子800メートルリレーの時間になった。

私は俊也の肩の事が何より気掛かりだった。

葉子ちゃんも、

「矢吹くん、大丈夫なの?」

と私に聞いてきた。

「矢吹くんは大丈夫だって言ってたけどね。」

と答えた。

リレーの順番は伊藤くん、田川くん、俊也、松井くんの順番だった。

「位置について、よーい」

「バーン」

伊藤くんが少し出遅れて走り出し、三着で田川くんにバトンを渡した、田川くんが一人抜いた。

女子の黄色の声が凄かった。

けれど、その後、田川くんは先頭を走る二組の山川くんが抜けず、二着で俊也にバトンを渡した。

俊也が走り出した。

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