ずっとあなたが好きでした
二組の竹内くんとは結構差があった。

しかも、四組の松下くんが追い上げてきて、俊也にかなり接近していた。

抜かれないか凄く不安だった。

危なかったけど、二着で、松井くんにバトンを渡した。

松井くんが二組の秋山くんとの差をだいぶ縮めたけど、一着にはなれず、三組は二着に終わった。

俊也が戻ってきて、みんなに謝っていた。

抜かれてもいないし、そんなに謝る事ないと思った。

何よりも、肩が大丈夫かどうかが心配だった。

私は思い切って、俊也に話し掛ける事にした。

「矢吹くんが、何でそんなに謝るの?何も悪くなかったし、むしろ良かったよ。」

「でも、俺抜かれそうだったじゃん?」

「そんな事何にも気にする事ないよ。実際、抜かれてないし、堂々としてれば良いんだよ。例え、抜かれたとしても、矢吹くんより速い人なんて、このクラスにいないんだから、しょうがないよ。良いよ、気にしなくて!それよりも肩は大丈夫?」

俊也は笑っていた。

「矢田は強いな。肩は何とか。ありがとう。」

その時の俊也の私を見る優しい顔に一瞬ドキッとした。

思わず、下を向いてしまった。

そして、私は言った。

「体育祭終わっちゃったね。マスゲームの練習楽しかったね。」

「あぁ」

と言って、私にまた優しく微笑んでくれた。

閉会式が始まった。

私はさっき、俊也が私に微笑んでくれた事が嬉しくて、ボーッとしていた。

結局、三組は何も賞は取れなかった。

皆は賞が取れなくて、泣いてた子もいたけど、私は賞なんてあまり興味がなかったから、どうでも良かった。

例え、賞を取ったとしても、元々里加ちゃん達とクラス一丸となって、協力し合って取った賞でも何でもない訳だから、貰ったとしてもただの紙切れに過ぎず、嬉しくも何ともないだけだと思った。

だけど、カラーガードの皆とは一丸となって練習していたから、少し悔しさはあった。

私はただ、カラーガードの皆でした練習と練習後に公園で話したりする事が、体育祭が終わったらもう出来なくなると思うと本当に寂しかった。

昼間はまだ残暑で暑かったけど、今は何だか、ひんやりとしていて、涼しくなっていた。

9月ももう終わりか…

風がもう秋の風になっていた。
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