ずっとあなたが好きでした
もう二ヶ月位、俊也とまともに話していなかった。

私と俊也は、里加ちゃんやクラスメイトがいる前では殆ど話す事はなかった。

私も里加ちゃんにまた目を付けられたくなかったし、後から知ったけど、俊也も私が虐めに遭わない様に皆の前では極力話掛けない様にしてくれていたらしい。

俊也と目が合っても、相変わらず反らしていた。

最近は、伊藤くんも
、何も言わなくなっていた。

私は冬休みに入ってしまう前に、俊也と一言でも良いから、話したかった。

帰り道、あっこ達と帰っていた。

振り返ると、俊也が一人で歩いていた。

私はあっこ達に

「忘れ物をしたから、先に帰ってて!ごめんね!」

と嘘を言い、偶然を装い、俊也の方に向かった。

「矢田!どうした?家逆方向じゃん?」

「ちょっと、忘れ物しちゃって…。」

「何忘れたの?」

「え?」

忘れ物なんかしてないし、何て答よう?

「つ、通知表!」

「通知表?早くしなきゃ誰かに見られるぞ!しかも、部活も今日休みのとこが多いし、早くしないと先生達帰っちゃうよ。」

「分かった。急いで行くよ!ありがとう。」

「待って!俺も行くよ!」

「え…?」

どうしよう…

通知表持ってるよ…

矢吹くん、ついて来てくれるって言ってるよ…

「や、矢吹くん!大丈夫!私、一人で行けるから!気にしないで!じゃあ、良いお年を!」

「良いよ。俺も何か忘れてる様な気がするし、一緒に行くよ!早く、行こうぜ。」

私達は全力で教室まで走った。

教室の鍵はもうかわれていた。

「矢田、待ってて!俺、職員室に行って、鍵借りて来るから!」

そう言って、俊也は職員室に行った。

どうしよう…。

矢吹くんに嘘ついちゃったよ…。

まさか、一緒に来てくれるなんて思わなかったし…

ただ一言話したかっただけなのに…

矢吹くん、私の為にあんなに走って鍵取りに行っちゃったよ…

矢吹くん、ごめんなさい…

通知表、私の鞄の中にちゃんとあるよ…

ちゃんとあるよ…

俊也はすぐに戻って来てくれた。

「矢田!矢田、ダメだ…職員室もう誰もいなかった…俺、守衛さん、探して来るよ!守衛さんなら、まだいるかもしれねーから!」

「矢吹くん、ごめんなさい…」

「ん?どうした?」

「通知表、他の物に挟まってたの。あったの。」

「マジで!良かったな!」

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