ずっとあなたが好きでした
「そんなにか?そんなにそいつの事好きなの?」

「伊藤くんの事、もちろん好きだったよ。でもその人の事は伊藤くんの時とは比べものにならない位好き!大好きなの。」

何、言ってるんだろ私…

矢吹くんの前で、矢吹くんの事言ってる…

大好きとか言っちゃってるよ…

でも、何だろう、不思議…

やけに今日は素直になれる…

俊也の質問に出来るだけ、隠さず答えたかった。

「それ、いつから?


「夏休み入る前からかな。はっきり覚えてないけど…」

俊也は何だか、元気がなくなっていた。

凄く悲しそうな顔をして、私を見ていた。

「矢吹くん?どうかした?」

「いや、何でもない!そっか、頑張れよ!上手くいくと良いな、そいつと!上手く言ったら、報告しろよ!」

「頑張れよ」

「上手くいくと良いな、そいつと」

「上手く言ったら、報告しろよ」

か…。

頭の中で、何度も俊也の言った言葉が繰り返された。

私、振られたんだ…

告白もしていないのに、振られたんだ…

嫌だな。

私の人生…

どうして、こう何もかも上手くいかないんだろ?

やんなっちゃう。

私は何だか笑えてきた。

「何、笑ってるんだよ?」

「何か私の恋、ダメそうだなって。」

「え?」

俊也も笑っていた。

「矢吹くんは、どうしてその子に告らないの?」

「その子、俺の事ちっとも好きになってくれねーもん。」

寂しそうにこっちを見た。

「矢吹くんに、告られて断る子なんていないと思うよ!」

俊也は笑った。

「何言ってんだよ!誰も俺なんかに告られて、OKしねーよ!」

「そんな事ないよ。皆、矢吹くんから告られたら、嬉しいはずだよ。少なくとも、私には矢吹くんは眩し過ぎるよ。」

「俺の事が眩しい?」

「うん、住んでる世界が違う感じ!」

「同じ廊下に今こうしているじゃん?」

「そうなんだけどね!」

「俺には矢田が眩しいよ!」

俊也は優しく私を見て言った。

「え?」

「あぁ」

私のことが眩しい?

私が矢吹くんの事が眩しいんじゃなくて?

どういう事?

「言ってる事が良く分かんないよ。私なんて眩しいなんて言葉、合わないよ。」

「矢田は自分を卑下し過ぎだな。もっと自信持てよ!そんなんじゃ、上手く行くもんも上手く行かねーよ!俺、応援してるから!」
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