ずっとあなたが好きでした
同じ方面の高校だったら、同じ電車になる事があるし、家も割と近いし、帰り道にバッタリ会う事もあるだろうと思っていた。

今だって、クラスで毎日顔を合わせてるけど、たまにしか話せないし、毎日ではないけど、道中バッタリ会えそうだし、別にいっかと思った。

練習中、暇だったから、俊也ばかり見ていた。

やっぱり私の好きな人だった。

でも、高校に行けば、俊也より良い人にたくさん出会える、そんな気もしていた。

卒業式の日がきた。

多くの生徒は、別れを惜しんだり、泣いていたのに、私は一粒の涙さえ出なかった。

俊也に何て奴だと思われたかもしれない。

俊也も泣いていた。

那美子ちゃんが、卒業証書をもらった。

受け取る前に、三礼位していた。

媚を売りすぎだよ。

今更、そんなに先生に気に入られたい?

里加ちゃんと一緒に咲子ちゃんを無茶苦茶虐めてたくせに!

この偽善者!

反吐が出そうだった。

咲子ちゃんを虐めてた時も、嘘泣きして、先生を味方につけたっけ?

何て人!

最っ低!

何で、卒業式の日にこんな事ばかり思い出すんだろう…

私の中学生活は一体何だったんだろう?

もう、いっか…

今日でやっと終わる。

やっと解放される。

もう、二度とこの学校に来なくて良いんだ!

その後、クラス全員と先生の集合写真を撮る為に、近くの公園へ行った。

桜が満開でとても綺麗だった。

俊也は、何人かの女の子に写真を撮って貰いたいとせがまれていた。

あの中に、矢吹くんの好きな子もいるのかな?

いると良いね…

矢吹くん、良い人だもん!

最後だし、想いが通じると良いね…

俊也と田川くんの周りには、列が出来ていた。

俊也の第二ボタンは里加ちゃんが貰い、恵梨ちゃんや他の女の子は俊也の他のボタンを貰っていた。

そして、すぐに全部なくなった。

でも、皆何でそんなに欲しがるんだろう?

一緒に写真撮ったり、ボタンを貰ったりして、思い出にすがりついてどうするんだろう?

矢吹くんの事忘れられなくなったらどうするんだろう?

私だって本当は矢吹くんと写真撮りたいよ…

ボタンだって欲しいよ…

けど、私の想いはもう届かないんだから、後ろばかり振り向きたくない!

私は、高校に入って、良い人みつけて、新たな恋をする!

これは逃げなの?
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