ずっとあなたが好きでした
後悔
4月になった。

新たな気持ちで、桜山女学園高校に行った。

新しい友達もすぐに出来た。

最初は、女子だけの教室や音楽の時間に女子だけの歌声しか聴こえてこない事に違和感があったけど、次第に慣れていった。

5月のある日、人生で初めてコンパをした。

この頃、私は新たな出会いを求めていた。

俊也とは関係ない別の男の子に恋をして、幸せになりたかった。

中学生の頃の殻に閉じこもっていた自分を変えたかった。

本当の自分を皆の前で出してみたかった。

もう大人しいふりをして、目立たない様にコソコソするのは嫌だった。

相手は男子校に通う高校生だった。

普通にカッコ良くて、優しそうな男の子が何人かいて、久しぶりに男の子と話して楽しかった。

けれどコンパ中、ふとした拍子に、俊也を思い出したり、カラオケで去年流行った曲を聴いたりする度に、俊也を好きだった頃の自分を思い出したりした。

俊也の事を考えずにはいられなかった。

俊也を越える位、夢中になれそうな子はいなかった。

俊也以上にタイプの子がいたら、とっくに綺麗さっぱり俊也の事を忘れる事が出来たかもしれない。

一回でみつかるとは思っていなかったけど、何回もコンパがある訳じゃないし、何としても今日みつけたかった。

気に入る子をみつけて、好きになって恋がしたかった。

中学校で、自分の思う様に恋が出来なかった分、高校でたくさん恋をしたかった。

俊也に似た人じゃなくても構わなかったけど、初めてのコンパでは気に入る人は現れなかった。

この頃からだろうか?

記憶から遠退いていた俊也への気持ちが蘇り始めたのは…。

一目で良いから、俊也に会いたくなった。

会いたくて会いたくて、たまらなくなった。

初めてコンパをした日から、ずっと俊也の事ばかり考えていた。

コンパの後に、その時の男の子何人かとメールをしたりしたけれど、どんどん気持ちが乗らなくなっていった。

私の中で、恋をしたい相手は俊也だけになっていった。

その後も、何回かコンパをしたり、紹介をされたりしたけれど、気に入る人は全く現れなかった。

その度に、俊也の事が思い出され、俊也に対しての後悔の念が募り始めた。

矢吹くんとコンパで出会っていたら、里加ちゃんや恵梨ちゃんの目を気にせず話せたし、仲良く出来たのに…。


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