ずっとあなたが好きでした
そのうち俊也も私の事を忘れていく…

私を好きだった事も忘れちゃうのかな?

一緒に過ごした事も?

私の事も?

そう思うと堪えられなくなった。

そんな時、田川くんから何度か

「本当に好きな奴なんて出来たの?」

と聞かれた。

田川くんがそう疑問に思うのも仕方ない。

私は女子校だったし、そう簡単に好きな人なんて出来る訳がない。

俊也より良い人なんてみつかるはずがない。

何度目か聞かれた時、とうとう私は田川くんに

「嘘に決まってるじゃん。俊也が好きに決まってるじゃん。俊也の為に私嘘ついたのに、どうしてそんな事言うの?」

と言ってしまった。

「どういう事だよ?」

「私じゃ俊也は窮屈だよ。俊也は本当はもっと良い恋愛をして幸せになれるはずなのに、私が邪魔してるんだよ。だから、別れたの。」

「矢吹の幸せは矢田と一緒にいる事じゃねぇの?」

「俊也にはもっと相応しい子がたくさんいる。私よりも俊也を幸せに出来る子がたくさんいる。私は俊也にしてあげられる事が一つもないの。私じゃ俊也を満たす事が出来ない。私には足りない所が多過ぎる。私は何も良い所がないから、俊也を幸せになんて出来ない。」

「矢吹が幸せだと思ってても駄目なのか?」

「私は有り得ない位たくさんの幸せを俊也から貰った。私には俊也は勿体ない彼氏だよ。本当なら味わう事が出来ない様な幸せを俊也からたくさん貰った。もう十分。だから、今度は俊也に本当に幸せになって貰いたいの。」

「お前が幸せにしてやれよ。矢吹、言ってたよ?香が望んでも香以外の奴と幸せになんて絶対ならねーからって!」

私の目から涙がこぼれた。

何で?

どうして?

どうして、幸せになってくれないの?

私は私の存在が俊也を犠牲にしていると思った。

俊也、お願いだから、そんな事言わないで…

「田川くん、私どうしたら良い?どうしたら良いの?俊也、幸せになってくれない…私、俊也に幸せになって欲しいよ、誰よりも。だって、私、俊也が大好きなんだもん。こんなの嫌だよ。」

「矢田?矢田の気持ち、矢吹に話して良いか?」

「え?」

「だって、こうでもしないとお前達どうにもなんねーだろ?」

「分かった。俊也に私が想ってる事伝えて?やっぱりいい。自分でメールする。私自分で伝える。」

「大丈夫か?」
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