ずっとあなたが好きでした
初恋
席替えをし、俊也は1番左側、運動場側の後ろから2番目。

私は1番右側、廊下側の前から3番目になった。

女子からの嫉妬の視からも離れられるし、俊也との気まずい関係からもやっと解放される。

内心ホッとしていた。

そして、隣りの席の男子は小学校から知っている、よく話す、里加ちゃん達から嫉妬の視で見られる事など全くない、伊藤くんだった。

伊藤くんとは本当に話も合うし、何でも話せる関係だった。

楽だった。

何より面白いし、楽しかった。

お笑い番組の話とかして、本当に楽しかった。

そして、二人で笑っていたら視線を感じた。

うるさかったかなと思い、里加ちゃん達の方を見た。

里加ちゃんは次のターゲットの方を見て、嫌らしい笑みを浮かべていた。

違った。

俊也だった。

俊也が壁にもたれて、怪訝そうな顔をして、私の方を見ていた。

今の話で矢吹くんを怒らせる事したかな?

まぁいいやと思い、また伊藤くんと話し続けた。

「お前雑誌とか買わない?」

「俺、徳山直子が好きなんだけど、切り抜きとかねぇ?直ちゃん、めっちゃ可愛いよなぁ。あーどっかに直ちゃんみたいな子いないかなぁ。」

「そんなもんないし、一般人にはおらんわ。」

「おい、一瞬で夢をぶち壊すなよ」

話を続けていた。

暫く、視線を感じていたけど、気付いた時には俊也は田川くん達と話していた。

俊也と田川くんは野球部でバッテリーを組んでいた。

俊也がピッチャー、田川くんがキャッチャー。

最も人気のある二人が私のクラスにいた。

クラスではもちろん学年全体でもその人気は二分していた。

伊藤くんが話し掛けてきた。

「矢吹と田川が、ハゲだったらどうする?」

「ハゲでもマザコンでも何でも良いよ、私。」

「お前、あんなにあいつら人気あるのに、良いな、かっこ良いな、付き合いたいなとか思わないの?てか、興味ねぇの?」

「うん、思わないし、全く興味ないよ。全部が揃ってる男って何か胡散臭いじゃん。俺にかかれば、女はイチコロとか思ってるかもしれないし。私は苦手。」

「お前、変わってるなー。衣川(あっこ)はそうじゃないっしょ?」

「あっこはカッコイイ子大好きだもんね」

「二組の成瀬と付き合ってたよな、前…」


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