ずっとあなたが好きでした
「俺が悪いんだよ。俺が香を不安にさせてるから、いけないんだ。」

「違うよ。俊也は関係ないよ。私の問題だよ。私が強くないから…。」

「俺、香の気持ち、半分も分かってやれねーかもしれないけど、俺は例え香がモテても、モテなくても、世界中の奴に好かれても、嫌われても、香と一緒にいたいと思う。そんな事で別れたいなんて思わねーよ。俺はお前が伊藤の事好きだった時から、お前の事が好きだったんだからな…。」

「俊也…。」

「香、俺と同じ位、俺の事好きになってよ。お願いだから、別れるなんて言うなよ。」

「俊也…本当にごめんね。」

俊也はまだ少しだけ泣いていた。

「俊也、大丈夫?」

「俺、あんまり泣いた事なんかねーんだからな。大好きな婆ちゃんが死んだ時も、泣かなかった。」

「あの時も泣いてたけど?」

「いつだよ?」

「中学の時!」

「あぁ。あれはお前に泣かされたんだ。」

「私、何か悪い奴だね。」

「あの時はすげぇ嬉しかったけど…。」

俊也は精一杯、応えようとしてくれた。

私が俊也を想っている以上に、俊也は私の事を想ってくれてるのかもしれない。

私は俊也が笑顔でいてくれれば良いと思っていた。

隣りで笑っていて欲しかった。

俊也を困らせたくも、悲しませたくもない。

私は何を俊也に求めていたのだろう?

俊也を取り巻く女の子達に嫉妬し、そのくせ何も頑張っている訳でもないのに、俊也に自分の事を一番に想って欲しいと強く望んでいた。

俊也を喜ばせる事も幸せにする事も何一つ出来ないくせに…。

困らせて、悲しませてばかりいるのに、何を求めているのだろう。

どんどん俊也に求めてしまっている自分がいた。

けれど、私はもう逃げないって決めた。

あのたくさんの女の子達に負けない位、強くなる。

どんな事があっても簡単に俊也から離れない。

自分から、俊也に別れるなんて絶対に言わない。

俊也に嫌われまでは
…。

強くなりたい。

強くなって、俊也を幸せにしたい。

それだけを考えよう。

俊也はやっと落ち着いたみたいだった。

こんな良い人を私はこんなに傷つけた…。

私は俊也を抱き締めた。

「俊也、ごめんね。本当にごめんね。私、もう二度と言わない。別れるなんて言わない。俊也がどんなに女の子達から、モテても、もう別れるなんて言わないよ。私、頑張るよ。」
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