元気だよ
従姉の声が聞こえた瞬間、頭が真っ白になった。
…………
て…ゆーか、やばいっ!!!早く出なきゃ!!
「も、もしもしっ!ごめんっ!何か勝手に電話ボタン押してたみたいでっ!もぅホントごめん!」
ついさっきまで寝呆けてた頭が一気に冴え渡り、ものすごい勢いで謝罪した。
「ははっ(笑)なんだぁ〜そっかあ!なんか緊急事態でも起きたかと思った!」
夏のお盆以来聞いてない独特のゆっくりした声が響く。
「ホントすいません!ごめんねいきなり!何もないから大丈夫!」
とりあえず、向こうの穏やかな口調には安心したけど―…
「そか!ゆいちゃん元気?」
全然気にしてないよって感じの彼女の問いかけ。
「うん、元気だよ。…やっぱ忙しい?」
そう聞いたのは、彼女が就活真っ只中だから。
「あぁ〜就活?うん、まあねー。あ、そういえばアイちゃん帰ってきたんだって?」
話題はうちの姉に。就職先を地元にした姉は遠く離れた地から戻っている。
結局、3人とも別々のところだ。
「あー…らしいね(笑)」
なんだか私達が姉のことを話すのも久しぶりすぎる。姉とも夏以来会っていない。
就職祝いもまだ送っていないっけ。。ふと思い出す。
「ねー(笑)また、夏には会えるかな?」
従姉と会うのは年に一度。お盆休みだけ。元々都会に住む彼女だから田舎に帰ることも滅多にない。
「…か、な?」
曖昧なのは、きっとふたりとも忙しくなりそうだから。
それでも、友達みたいな彼女と過ごす時間はいつも楽しみにしている。