初恋
『あー、もう何であたし残らなきゃいけないんだろー』
教室に入って机にうなだれながらあたしが呟くと
「いや、入学して早々遅刻したからだろ」
と美柚と良太の2人につっこまれてしまった。
もう……なんで入学して早々こんな目に……
って、あたしが悪いんだけどっ
あ、そういえば……海斗は大丈夫だったのかな……?
放課後ちょっと5組行ってみようかな。
そんなことを考えていると、
「はい、じゃぁ今日はこれで解散!もう帰っていいぞー。あ、居残りの人はちゃんと教室に残ってること!いいな?」
といって先生は教室から出て行ってしまった。
そして、次々と教室からみんな出て行く。
「んじゃ、奈緒居残りガンバー♪あたし、もう帰るから」
といって美湯も教室から出て行ってしまった。
『えぇっ!美柚、もうちょっと一緒にいようよー……』
とあたしが情けなく叫んでも戻ってきてはくれず。
「あははっ、美柚、冷たいなっ!んじゃ、俺も帰るかなっ。奈緒、また明日な!」
と言って良太も出て行ってしまった。
『美柚に冷たいとか言っといて良太も十分冷たいじゃん……』
なんて独り言を言う。
そして、教室から、ほとんどの生徒が居なくなったころ。
あたしは、海斗に用があるのを思い出して、教室から出ようとした。