初恋
『っ……あ、じ、実は……ね ───
あたしが海斗に説明しようとして途中まで言いかけたとき。
──遠くから足音がして、その音はどんどん大きくなり、あたしのすぐ後ろで止まった。
そして海斗はあたしの後ろにいる人物を睨みつけ、あたしの聞いたことないくらい低い声で言った。
「───誰、お前」
あたしが後ろに居る人物を確認しようとゆっくり後ろを向いた。
『あ……』
そこにいたのは……連弥だった。
蓮弥は、あたしの後ろを軽く睨んだような気がした。そして海斗の言葉を無視して
「……居残り。奈緒も遅刻したんだ?」
『あっ……うん、まぁね』
海斗にバレちゃったな、と思いちょっと暗い声で答えた。
「っ……(今、奈緒って……)無視すんじゃねーよ」
多分海斗は、無視されたことで怒っている。変なトコでプライド高いんだよね。そこらへんは、もう十五年間の仲なんだから分かっている。
「あ?……坂野連弥だけど。お前は。」
さっきとは全然違う、重い空気が流れる。