初恋


「えっ……奈緒っ?っ……やっぱ、無理、だよな。ごめんっ……だから……お願いだから泣くなよ。」

あたしはまた、蓮弥に抱きしめられた。

『っ、ちがっ……違うの。グスっ あたし……あたしも、蓮弥のこと……好きになってたみたいなのっ』

しゃくりあげながらだけど必死にあたしの気持ちを伝えた。

ちゃんと伝わったか分からないけど

あたしの言葉を聞いた蓮弥は、更に強く抱きしめてくれた。

「っ……奈緒、ありがとう。俺、奈緒に一目ぼれしたんだ。教室遅れて入ってきて奈緒のこと見つけて。そん時に、可愛いって初めて思ったんだ。それで、席隣って分かって、めっちゃ嬉しかった。俺……奈緒が初恋なんだ。だから俺、奈緒のこと、幸せにしてやるから。」

あたしはその言葉が嬉しくて、蓮弥を押して、少し距離を作った。

『あたしも、蓮弥が初恋っ。蓮弥があたしの隣に座った時から、多分もう好きだったんだと思う。あたし、すごい嬉しい。今も、すっっっごい幸せっ』

そう言って微笑んだ瞬間、

再び奪われた唇。

2人の熱い唇が重なり合う。

さっきとは違う、少し長めのキス。

初めての感覚に頭が痺れる。

『んっ……んぁっ』

そして、自分の声とは思えない、少しえっちな声がたまにできる唇の隙間から漏れる。

そして、離された唇。

今の2人は、多分夕日に照らされて、赤い顔がもっと赤くなってると思う。

蓮弥は、少し照れた後に笑って、あたしの耳元で、こう囁いた。

「奈緒、大好きだよ」

その言葉でもうあたしは茹蛸状態でした。
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