初恋



途端にあふれ出した涙。

『んっ、いやぁ……』

重なりあう唇にたまにできる隙間。

その時に、必死に海斗に訴える。

そして、どんどん目の奥から溢れてくる涙

……どうして、海斗は…

なんでこんなこと、するの…?

ひどいよ…

あたし達は……あたし達の関係っ

15年間もずっと、幼なじみだったじゃん

それなのに、なんでこんなことで、

崩さなきゃいけないの……?

あたしの止まらない涙に気付いたのか

海斗はハッとした表情で唇を離した。

そして、開放された体。

『……はぁっ…はぁ…』

唇はもう離されたけど、まだ息がうまくできなくて苦しかったあたしは、肩を上下させていた。

「っ…こんなつもりじゃ……奈緒、ごめんっ」

謝りながら、申し訳なさそうに困惑した顔をして、海斗はあたしの肩に手を伸ばしながら近づいてきた。

『いゃっ…いやあああっ!!!』

でもあたしは、海斗のことが怖くて、悲しくて、ショックで、そして蓮弥に申し訳なくて、もうどうしようもなくなって、教室から走って出て行った。




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