初恋



あたしは頭を下げ、必死に謝った

「んやっ、大丈夫だよっ、どこも痛くないし」

ニィっと笑い、許してくれた良太。


でも…嘘。突き飛ばしちゃった時、「いってぇ」って…言ってたじゃん。しかも、手…

『ぁっ…良、太。手…』

あたしは良太の手を指差し言った

「ん?……あぁ、これくらい大じょ『やっ、ダメだよ、保健室、行こ』

良太は、手をすりむいていて、血が出ていた。

あたしは怪我をしていない方の良太の手を引いて階段を下り、2階へと向かった。

2階の廊下を歩いている時

「奈緒…大丈夫なの?さっきの…」

遠慮がちに話を切り出した良太。

『…あ、うん。本当に、さっきはごめん!』

歩きながら謝るあたし。

急に良太が足を止めた。

良太の手首を掴んでいたあたしは、前につまずきそうになった。

『おわっ…』

──グイッ

「お…大丈夫か?」

良太があたしの腕を引っ張ってくれたおかげで、前に倒れずにすんだ。

『あ、ありがとう。やっぱ良太って、優しいんだね』

ニコッと笑いお礼を言うと

良太は言いにくそうに
< 49 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop