初恋


「なぁ、奈緒。木下ってやつのことだけど…さっきの奈緒のことと、蓮弥が追いかけてったのって…なんかあったのか?」

そう、聞いてきた。

本当は思い出したくない。

思い出したくないけど、良太には…話したほうが…いい、よね。

『…実は、ね……』

あたしは、2回の廊下で、全てを良太に話した。

今朝、蓮弥に話したときと同じように。

良太は、何も言わずにあたしが話し終わるまでただあたしの目を見て聞いてくれた。

途中、思い出して涙が出そうになったけど、それに気付いた良太が、あたしの背中を撫でてくれた。良太なりの優しさが、すごくありがたかった。

「全部、話してくれてありがとな…辛かったな」

良太があたしの頭を撫でながら言った

『ううん、良太こそ、ありがとね』

すると良太は一瞬驚いた表情をして「いや、当たり前のことだろ」と言って笑い、この場を明るくしてくれた

それから保健室に入り、保健室のの先生に治療をしてもらった。

「そっか、だから蓮弥は…」とか幼なじみがどう…とかブツブツ呟いてたけど、納得した様子だった。

『先生、ありがとうございましたっ!あ、失礼しましたー』

お礼を言うのを忘れずに扉を閉めた。
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