初恋


全て階段を上がりきって、教室の扉を開けると、そこに居たのは


──ガラガラッ


蓮弥と美柚。そして…海斗、だった。

「なっ、奈緒…」

最初にそう言ったのは、海斗。

海斗とは十分距離は離れていたけど急に恐怖がこみ上げてきた

『蓮…弥、どういう……』

この状況を理解できなかったあたしは蓮弥に助けを求めた。

蓮弥が一歩ずつあたしに近づいてきた。

「奈緒、俺が、話つけてきたから」

とあたしと、あたしの隣に居る良太にしか聞こえないような声で言った。

『え……』

よく見ると、蓮弥の顔には、傷があった。

そして、海斗の顔も同じだった。

『蓮、弥。殴っ…たの?』

あたしは少し不安になり、聞いてみた。

「……あぁ、でも、今はいいからこいつの話、聞いて」

と海斗へ目をやり、蓮弥が言った。
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