初恋


あたしは、怖かった。

怖かったけど、このまま逃げ出す方がもっと怖かったから

ゆっくりと海斗のほうを向いた。

海斗は、あたしと目が合った瞬間に、喋り始めた

「俺さ…、ずっと、奈緒のことが好きだったんだ。」

『……』

「物心ついたときには、いっつも奈緒のことばっか見ててさ」

「今までずっと、誰よりも近くで奈緒のこと想ってたのにさ、全然気付かねえんだもんな。チャリ後ろのっけたり、一緒に帰ったりしたけど、奈緒は全然俺のこと"男"としてみてくれてなかったんだよな。…それで昨日、奈緒から連絡なかったから気になって…んで朝、おまえの教室で待ってようと思って……それでおまえが来て……坂野のこと話し出した途端に顔赤くするし、それで案の定…"付き合ってる"って…その言葉聞いた途端に、体が勝手に動いちゃってさ……。それで……」

一気にさっきの事について話し始めた海斗……

なんとなく、海斗が言った事が頭に入ってきた

でも…海斗が、ずっとあたしを……?

『そんな…あたし、全然気付かなくて…』

「ははっ…そんなの、知ってるっつーの」

『…えっ、…ご、ごめ…「謝るなよっ!」

『……っ』

そう言った海斗の声は、震えていた

「もう…謝られたって…遅いだろ、」

『…え?』

「奈緒が俺に謝ったところで…」

…えっ…

「奈緒が謝ったところで、もうどうにもならない、だろ?」

『あ…』

「奈緒の気持ちは、もう変わらねーんだろ」

そう言った海斗の目は、冷たかった

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