初恋

確かに、海斗の言ってることは正しい

…あたしが海斗に謝ったところで……

でもあたし…今まで海斗の気持ちに全然気付かなくて…あたしは何をしてたんだろう。そんな失礼なことってないよね。


『海斗…あたしね、』

俯いていた海斗がゆっくりと顔を上げた

『あたしさっきね…海斗のこと、怖かった』

「っ……」

海斗の足元を見ながら、あたしは話を続けた

『今までずっと一緒に居た海斗がだよ?…あんなことするなんて、信じられなかった。…悲しくて、苦しくて…必死に訴えたけど、やっぱり海斗の力にはかなわなくて…ただ泣くことしかできなかった。それで初めて、海斗も男の子なんだな、って思ったの。今までは、こんなことなかったじゃない?…だから余計……。でもあたしはさ、喧嘩したって、何があったってさ、海斗の幼なじみなんだよ?だから、何があったって海斗のこと嫌いにはなったりしないの…絶対に。だからさ…あたしはもう、海斗に怒ってなんかな…「ありがとうっ……」

『っ…え、か…いと』


「怒ってなんかないよ」って言おうとしたのに

あたしは海斗に抱きしめられていた。

ちょっと遠慮しながらも、背中に回された海斗の長い腕

海斗からは、甘い香水の匂いがした

…いつの間に香水なんか…

中学の時はそんなキャラじゃなかったのに…


「っおい、木下、お前調子乗んなよっ」

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