初恋


その声の主は、ビリっとあたし達を簡単に引き剥がした


「お前、人の彼女いきなり抱きしめんなよ」

むすっとした顔で蓮弥が言った。

少しほっぺが膨らんでいるその顔は…

『可愛い…//』

っ!

気付いた時にはもう既に遅し。

は?とでも言いたげな顔で、蓮弥がこっちを睨んでいた

その顔が面白くて見続けていると

みるみるうちに、顔が赤くなっていって…

「かっ、可愛いとか言うな//」

いじけて、顔を逸らした蓮弥の顔が、

幼く見え、それもまた可愛くて…

『ぷっ、蓮弥顔赤いっ、可愛いっ!』

つい噴出してしまい、みんなで爆笑していると


「っ、お前らふざけんなよっ!」

そう言った蓮弥の顔は、更に赤くなっていて、笑っていると



「放課後、覚えとけよ?」

あたしにしか聞こえないように、

あたしの耳元で、そっと、囁いた。

耳元で、ちょっと危険な言葉を囁かれたあたしは

良太に…

「あれっ、奈緒も顔赤いよ?あっ、もしかして蓮弥に…」

『なっ、ち、違うし!何も言われてないよっ!!』

全否定して、上手くごまかしたたつもりだったけど…

「ん?何が違うのかなっ?ふ~ん、蓮弥になんか言われたんだ」

『っ//』

逆に、色々探られてしまった
< 54 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop